この物語は主人公が名古屋市の日雇いや派遣会社での仕事を、
転々としながら、その日暮らしの生活を描いている自伝的小説です。
45歳で風俗のボーイの飛び込み社員になる。
肉体労働や派遣会社の作業員も嫌になったので、
人生の経験として、
夜のバーテンダーのような仕事をやてみようと思った。

名古屋市に今池と言う繁華街がある。
名前は忘れたが小規模な風俗店に面接にいってみた。
年齢を気にしながらも面接してもらったら簡単に採用が決まった。
面接した店から近くの別の店に配置されて、
そこで店長を紹介されてその日に仕事が始まった。

そんなに簡単に決まったの?

簡単に決まった。
年齢がネックなので大丈夫かと思ったがスンナリと入れた。
店長はひとつ年下であったが長年の水商売稼業なのか?
何となく風格や品格が備わっている様子で腰の低い人間であった。

肉体を拠り所にする労働者の監督や人夫とは違う、
独特な雰囲気を出していた。
一応水商売も毎日現金で2千円の貸し出しがあって、
仕事を終えると渡されてビール代とおつまみに消えていく。

何となく日払い人夫と同じシステムね、
水商売は自己管理が甘くなるような生活環境なので、
思ったよりは規律が厳しい。
上下関係も特に厳しかった。
1日でも早く入社した方が上で、
バーテンダーでもABCにランクが分けられる。
バーテンダーA、バーテンダーB、バーテンダーCと、
1日でも早いのが上になり後輩の面倒を見る。
面倒を見ると行っても対した事はしないが、
生意気な気分になり、
エラそうに指示を出すだけである。

店長がいて、世話人のような主任、部長、課長、
バーテンダーA、バーテンダーB、バーテンダーC、となる。
店には大した人数はいないのであるが、
肩書きだけはしっかりとある。

一度先輩の人間を名前で呼んだら、
「君!課長と呼びなさい!」と訂正された。

笑い!まぁ何処の会社も同じですね、
昼の3時頃に店に入るのであるが、
他の店で12時頃に打ち合わせの会議がある。
狭い店の中には30人くらいの従業員が集まって会議を開くのである。
会議といっても会社の気合い入れで、
セールスマンがやっている元気づけの挨拶時間帯である。
今日も1日頑張ります!の気合い入れから始まり、
社員同士で固く手を握っては励ます。

丁度オーム真理教が流行った時代なので、
従業員の洗脳時間帯と思えば良い。

???????、、
手を腰にあっててコッコッと、
北の何処かの軍隊のように小早いで、
何となく鶏が歩く感じで店の中をウズを描くように歩く。

この行為をヤるたびに意味わからずにいた。

みんなが真面目な顔でするので、
肉体労働者の感覚から言えば笑える空間であるが、
反感を買うので堪えて難しい顔をする。
肉体労働者の行為でも水商売や一般の会社から見ると、
トンチンカンな行為に見える時がある。

右よし!左よし!の人差し指呼称である。
右も安全、左も安全の確認である。
これが癖になり信号を青で渡る時にも、
手を上げて右よし!左よし!と声を発しながら歩く。

一般にそれをヤると気が狂った爺さんとしか思われない。

何となく、ヤラナイと気がすまない職業病とも言える。
話は戻るが、
その秘密結社のような会議が終わると配置の店に3時までに行く。
3時から夜の準備に入る。
まずおしぼりである。

箱いっぱいに積まれたおしぼりをビニール袋から取り出して、
客が使いやすいようにトレンチに並べる。
烏龍茶を客に出せるようにキッチンに置いておく。
コップも綺麗に洗いアルコール類もセットする。
6時前に女子も集めてミーティングがある。

一般の会社の朝のミーティングのようなものだね。
店長が壇上で挨拶するのが日課でその次に主任、部長や課長、、、などとなる
6時に開店となる。
客がいなくても音楽のボリュームを上げておく。

みんなのテンションを上げる意味で必要な事で、
音楽のリズムに合わせて手を叩いて盛り上げる。

祭りのハヤシのようなものだね、
客が店に入ったら、
客の注文を聞きつけては慌ててキチンにいき、
烏龍茶などとおしぼりをテーブルの上に置く。

何となく仕事という感じがせずに案外楽しく感じた。
音楽にノリノリで若い時にクラブで踊り明かした気分がよみがえる。
12時閉店時間までに、あっという間に過ぎていく。
最初に言うのを忘れたが、
ここの風俗店は、お触りOKで最終的には、
御口と御手でイかせる店である。

その当時30分か?40分で5,800円であった。
お釣りが200円残る。
セコイ話であるが、この200円が働く従業員の隠れお小遣いになる。
100円玉がズボンから溢れてシートの裏に落ちている。
掃除をする時に拾い集めると2~3千円になる。

店が終わったら一目散に、誰にも負けすに掃除をする。

へ~掃除を頑張ているんだと思ったら、
そんなからくりがあるんだ不誠実ね、、

小さなテーブルと2人で座れるシートが、
15組くらい所狭しとセットされている。
そこでお客と店の女の子が飲み食いしながら、
下半身のマッサージタイムとなる。

ボリュームの大きい音楽の空間にいると、
脳が暴走して自己を忘れるらしい。
パチンコ屋さんのデッカい音楽で、
ジャンジャンばりばりと自己を忘れて、
金を使うシステムと思えば良い。

少し例えが違うか??
惚れ惚れするのは音楽に合わせて店長のハヤシ言葉が凄い。
一種の催眠術空間のようで、
女子も忙しくバーテンダーも戦争のように忙しく働く。
店長がマイクを握りしめて大きな声で叫ぶように、

いらしゃい、いらしゃいとはじまり、
さ~~3番テーブルの香りちゃん、ご指名に頑張って!とか、
今宵はショータイムとゆっくり遊んでくださいとか、

そのハヤシ立てる言葉で従業員やお客も乗ってしまい、
お酒やおつまみの注文も増え延長時間も増えるのである。

肉体労働で働いていた時間より早く感じられる。
仕事も楽しく感じられるようになるのも水商売の良さかも知れない。
そして魅力のあることは、
どんないい加減な顔でも大概はモテる。



残念ながら、カーキ色の作業服よりネクタイスタイルがモテるのは仕方がない。

モテそうだね、
モテたね、
店の女子だけでなく他の店の女子や店以外の女子にもモテた。
労働者の時はいくら頑張ってもモテなかったが。
水商売では信じられないくらいに、、モテた!
特に店の前での客の案内人はモテた。
フロント係は店の顔みたいなもので、

入れ食い立ち食いヤリ放題である。
ただし、店の女子と付き合うのがバレたら、
店側に詰め寄られて50万円の罰金とされる。
店の前にいるフロントマンは、
呼び込みよろしく、ガラが悪い印象であるが、
ここの店は呼び込みや引っ張り行為は禁止とされていった。
単純に客の案内と女子の紹介だけである。
紹介もキメこまかく決まりがあった。

この女子が良いよとか紹介をしてはならない、

何故?
何故なら店の前で女子の値を決めると不平等になるので、
働く女子のモチベーションに影響が出るとのことである。

なるほどね、
確かにフロントマンの好みで女子が選ばれたら頑張る気力も落ちるよね、
女子の実力が決め手となる。
不思議なことに、若い女子がナンバーワンかと思いガチであるが、
意外にも50過ぎの女子がランキングを争う、
不思議な現象も起きていた。

へぇ~普通は年配者より若い女子が好まれる傾向にあるよね、

その理由を指名した客に聞いてみたら、
年配者の方の仕事は丁寧だと言われた。
若い男にしてみれば、
若い子より、年配者の女子は
御口や御手のサービスが丁寧であるとの事。
店の前に立つフロントマンには色々決まりごとがある。
その一つに指名関係で、
フリーの御客には階段の壁に掲示されている名簿から指名させて、
常連なら何時もの女子を指名してもらうのである。
しかし、
このオキテ破りが偶然にもモテる要因にもなる事に気が付く。


へぇ~決まりを破ることでモテるの?
店の前に立っているバーテンダーは決して客の案内だけでなく、
女子の出勤状態を確認する役目もある。
例えば、
客が指名したときに出勤状態が把握出来ないと、
案内できないので必ず店が開く前に女子の出勤状態のチェックを、
メモするようになっている。
チェックする方法は簡単で店の出入り口はひとつなので、
女子が店に入った時にメモだけする。

ある日に、いつも指名の多い女子が、その日はたまたま指名がゼロで、
彼女にしてみれば自分の実力で指名がゼロと思わないので、
フロント係が私が休んでいると勘違いしているので、
指名されないのだと変な勘違いをする。
慌てて女子は私のところへ来て、
「私はちゃんと出勤ているわ」と確認しに来るのである。
そこでイタズラ半分で来た客にその女子を紹介したら、
普段の2倍もの指名が入って女子は喜んで前よりは親密になり、
店以外にも色々と便利をハカッテくれた。

そんな甘い手を覚えたので、逆に生意気な女子が指名されても、
休みとか難癖つけて他の女子を指名させると、
人気のあった女子の指名が落ちて、、、

不安になり私に対しての怒りか、媚びる選択となる。

君も嫌らしい性格ですね!w

水商売の恐ろしい風景でもある。
日頃から誰にも親切にしましょう。嫉妬混じりの意地悪が襲いますからね、、、
何しろ夜の商売で男子は、ホスト以外は殆どオマケ的な存在である。
給料の面でも破格の違いがある。
男子の給料はひと月に25万くらいで女子は1週間で男子の倍くらいある。
テーブルの上に女子の御金は立つけど、男子の場合フニャとなる。


水商売で辛いのが拘束時間が長いことである。
拘束される時間に意味の無いない12時から夜中の1時までに、
休みはひと月に1回あるくらいである。
稀に店のイベントがあると店の周りのマンションなどに、
ビラ配りをする事があり寝る時間も4時過ぎになる日もある。
女子とのデートの時間の調整は厳しいのであるが、
仕事が終わってからが多い。
仕事が終わると待ち場所を決めて落ち会う。
バレたら詰め寄られて罰金が待っているが、
余程の事で下手を打たなければバレない。
稀に店長が女子と駆け落ちのように逃げた事はあるが、
これは例外である
失敗も楽しいのである。

水商売は色々な人間模様が垣間見るので面白い。
次はお客とのトラブルとか女子同士の喧嘩とか、
書きたいと思います。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
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